第3回有機茶の栽培技術勉強会

2009年08月03日 22:00

2009年8月3日(月)
静岡県富士市須津まちづくりセンターにて
講師:ジャパンバイオファーム小祝政明

まずは富士市の有機系茶園の2茶園を視察。ほ場に出て実際の茶の樹の状態を見ながらの指導が始まります。
堆肥場も見学。土づくりの話しは午後の講義にも続きました。一園逸茶の勉強会では、順番に賛意蛙茶園の茶畑を視察します。人の茶畑を見るのも勉強。受け入れ茶園側は、ライバル茶園同士の厳しい芽が入ることで緊張感を保つことができます。
その後、会場にてd上分析データの検証、施肥設計、今期のお茶の検証を行いました。

土壌の三要素、物理性、生物性、化学性の優先順位
土づくりの優先順位はまず物理性。
土の物理性をしっかり整え、その上で生物性を考慮し、さらに化学性を付加するという順番で考えていくこと。

物理性の改善(通気性、保水性、排水性)
植物の根は酸素を取り込み呼吸をして、光合成で作られた炭水化物からエネルギーを取りだして様々な生命活動を営んでいる。通気性の悪い土では呼吸ができず生命活動ができない。また植物が必要な時にいつでも水を吸えること、つまり土壌の保水性が保たれていなければならない。同時に雨が多量に降った時、適度に土壌うから排水されなければ通常の植物は枯れてしまうので排水性も重要である。この三要素を実現させるためには土壌団粒を作ること。団粒構造が土の物理性を作り出している。団粒構造を作るためには有機物が必要。

生物性の改善(有機物の分解、養分や団粒構造を作る、土壌病害を抑制させる微生物)
生物性改善の狙いは、土壌病害虫の抑制と品質の向上。
土壌病原菌や害虫などの土壌病害虫に悩まされている土壌は改善が必要であり、多様な微生物が安定して棲みついている土壌の場合は品質向上を考えた微生物を中心に発酵させた堆肥やボカシ肥を施用。
<微生物の種類と特徴>
[糸状菌]デンプンを糖に変えるので他の多様な菌の増殖を助ける。
[セルロース分解菌]難分解性の木質センイを分解して可溶性の物質に変える。
団粒形成のスターターとして他の菌の活動を助ける。
[放線菌]溶菌と抗菌による耐病性向上。根を守る。
[乳酸菌]分泌する乳酸による殺菌作用。キレートをつくりミネラルを可溶化する。
他の有効菌が活躍しやすいように雑菌を抑制する。
[酵母菌]アミノ酸類などの多様な作物の栄養分を作って品質向上に役立つ。異常発酵を抑える。
[アミノ酸生成菌]アミノ酸を生成し品質の向上に役立つ。また粘質物質を出して団粒形成に役立つ。
[光合成細菌]硫化水素やアミンなど根の阻害物質を有効化する。成長促進。
[チッソ固定菌]作物と共生してチッソを供給する。成長促進。

化学性の改善
化学的要素は施肥との関連が強く、施肥した肥料同士のバランスが悪いと育成を乱したり、病害虫を発生させtり、収量や品質の低下を招く。土壌分析をもとに土壌の化学性を把握し、適切な施肥設計を行うことで収量品質面で納得のいく栽培が可能となる。この際CECの変化により養分の適正値が変わるため、CECを測定しないで養分の適正値を出すことはできない。CECとは「陽イオン交換容量」と呼ばれるもので土壌の養分を保持する目安となるもの。CECの大きい土壌ほど肥料成分を多く保持することができる。
また施肥設計で重要なのは、石灰(カルシウム)、苦土(マグネシウム)、カリのバランス。バランスというより「石灰・カリ」「石灰・苦土」「苦土・カリ」の二者間のそれぞれの比を見ることが大切。これらの中では苦土を中心において考えることがポイント。苦土が光合成を行う葉緑素の中核物質なので苦土が効いていることが大切。この苦土を効かせることの阻害要因として石灰とカリを見る。各比を適切な範囲内におさめて、かならず苦土が効いている状態を作ることが施肥設計のポイントでもある。